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2020年 第 40 週  ~ロタウイルスによる感染性胃腸炎~

2020年10月09日

今週の注目疾患   2020年 40週(2020/9/28~2020/10/4)
【今週の注目疾患】

【ロタウイルスによる感染性胃腸炎】
 2020 年 10 月 1 日からロタウイルス感染症の予防接種が定期接種となった。
ロタウイルスは乳幼児の急性胃腸炎の主要な原因ウイルスであり、通常 12 月ないしは年明け頃から発生を認め始め、春先に発生のピークを示す。
主な感染経路はヒトとヒトとの間で起こる糞口感染である。
環境中でも安定で、ウイルス粒子 10~100 個で感染が成立すると考えられており、感染力が極めて高い。
主症状は下痢(血便、粘血便は伴わない)や嘔気、嘔吐、発熱、腹痛などで、通常 1~2 週間で自然に治癒するが、脱水がひどくなるとショック、電解質異常等の治療のため入院が必要になることもある。
また、けいれんや意識障害といった神経系合併症の症例報告もあり、感染症発生動向調査の急性脳炎として報告された症例においても、ロタウイルスが病原体として報告されている。
5 歳までにはほぼすべての児が感染し胃腸炎を発症するといわれるが、ロタウイルスには多数の遺伝子型があり、繰り返し感染しうる。
ただし、遺伝子型が異なってもある程度の交差免疫が成立するため、2 回目以降の感染においては軽症や不顕性感染となることが多い。
すなわち、初回感染時の症状が最も重く、感染を繰り返すと重症化に対する防御効果がみられるが、ロタウイルスワクチンはこの性質を利用し、初回感染時の重症ロタウイルス胃腸炎を予防することを目的としている。
 ロタウイルスワクチンには、ロタウイルス胃腸炎患者から分離したヒトロタウイルスを弱毒化し、細胞培養で増殖後精製した 1 価経口弱毒生ワクチン(ロタリックス)、ヒトロタウイルス及びウシロタウイルスの遺伝子をリアソータント(遺伝子組換え)させて生成した 5価経口弱毒生ワクチン(ロタテック)の 2 種類があり、どちらも定期接種の対象である。
接種回数は、ロタリックスは 2 回接種、ロタテックは 3 回接種である。
また接種時期は、ロタリックスは初回接種の後、出生 24 週 0 日後までに 27 日以上の間隔をおいて更に 1 回接種、ロタテックは初回接種の後、出生 32 週 0 日後までに 27 日以上の間隔をおいて更に 2 回接種することとなっている。
どちらも 1 回目の接種は出生 6 週 0 日後から受けることができるが、他のワクチン(ヒブ、小児肺炎球菌、B 型肝炎)のスケジュールを考慮して、開始は生後 2 か月からが標準的である。
また、月齢が進んだ 0 歳児(生後 3 ヶ月以降)はもともと腸重積症を起こすことがあるが、ロタウイルスワクチン接種により、接種を受けてから約 1~2週間の間は、腸重積症のリスクが通常より高まるとする研究報告がある。
このため、可能な限り腸重積症の起こりにくい時期に接種するため、初回接種の標準的接種期間は出生 14 週 6日後までとしている。
 接種を受けてから約 1~2 週間の間は、十分な観察といつもと様子が違うと感じた場合は速やかな医療機関受診が必要である。
なお、注意すべき徴候としては、「突然はげしく泣く」、「機嫌が良かったり不機嫌になったりを繰り返す」、「嘔吐する」、「血便がでる」、「ぐったりして顔色が悪い」などがある。
 平時における感染予防としては、手指衛生の励行やオムツの適切な処理といったことが基本となる。
しかし、前述の通りロタウイルスは環境中でも安定で感染力が非常に強いため感染予防はきわめて難しく、世界中のほぼすべての児がロタウイルスに感染し、胃腸炎を発症するといわれている。
このため、初感染時の重症化をロタウイルスワクチンで予防することが重要である。

参考・引用
厚生労働省:ロタウイルスワクチンに関する Q&A
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国立感染症研究所:ロタウイルス感染性胃腸炎とは
>>詳細はこちら


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年10月7日更新)

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