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2020年 第 46 週  ~梅毒~

2020年11月20日

今週の注目疾患   2020年 46週(2020/11/9~2020/11/15)
【今週の注目疾患】

【梅毒】
 2020 年第 46 週に県内医療機関から 2 例の梅毒の届出があり、2020 年(第 1~46 週)の累計は 116 例となった。
例年同様に毎月一定の届出を認め、届出のあった患者の性・年齢は、男性 79例、女性 37 例となっており、ともに 20 代の届出が多い。

 梅毒に限らず性感染症の発生動向調査は、2020年も大きな減少を認めていない。
特に、116例のうち2例が先天梅毒症例であり、妊婦検診や受診時の啓発により妊娠中の梅毒感染の予防と妊婦梅毒の早期診断に繋げることが重要である。
 梅毒は、原因である梅毒トレポネーマに感染すると、約 3 週間の潜伏期を経て、経時的に様々な臨床症状が逐次出現する。
その間症状が軽快する時期があり治療開始が遅れることにつながる。
梅毒は早期の薬物治療で完治が可能であるが、検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがある。
時に無症状になりながら進行するため、治療を途中でやめないこと、また完治しても感染を繰り返すことがあり、再感染の予防が必要である。
<梅毒の症状>
・早期顕症梅毒(Ⅰ期:感染後約 3 週間):梅毒トレポネーマが進入した局所(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりや潰瘍が形成される。
鼠径部のリンパ節が腫れることもある。
無治療でも数週間で軽快するが、梅毒トレポネーマは体内から消失したわけではない。
・早期顕症梅毒(Ⅱ期:感染後数ヶ月):無治療のまま経過すると、梅毒トレポネーマは血行性に全身に移行し、手のひらや足の裏を含む全身に発疹が出現することがある。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合があるが、再発を繰り返すこともある。
ここでも抗菌薬で治療しない限り、梅毒トレポネーマは体内に残る。
・晩期顕症梅毒 :さらに無治療のまま経過すると、数年~数十年後の潜伏期間を経て、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)の発生や、心臓、血管や脳などの複数の臓器に病変が出現することがある。
・先天梅毒:妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがある。
早期先天梅毒と無治療の場合に 1 年以上の経過を経て発症する晩期先天梅毒に分けられ、先天梅毒の児の約 60%は出生時無症状といわれているが、多くの症例は 3 か月以内に症状が出現すると言われている。
早期先天梅毒では肝脾腫、皮膚病変(水疱疹、斑点状丘疹)、全身性リンパ節腫大、骨軟骨炎、鼻炎、肝機能障害、低血糖、溶血性貧血、血小板減少や中枢神経症状といった症状を認め、晩期先天梅毒は鼻・硬口蓋・各臓器・骨などのゴム腫様潰瘍、Hutchinson 歯(半月状の上顎切歯)、実質性角膜炎や内耳性難聴などの症状を認める。
国立感染症研究所 先天梅毒の届出に関する手引き:
>>詳細はこちら
 梅毒は早期の薬物治療で完治が可能であり、早期に医師の診断・治療を受ける必要がある。
コンドームの不適切な使用によるリスクの上昇や、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、パートナーの検診、妊婦検診や妊娠中の性感染症予防の重要性を引き続き広く啓発をしていく必要がある。
参考・引用
厚生労働省:梅毒に関する Q&A
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国立感染症研究所:梅毒とは
>>詳細はこちら


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年11月18日更新)

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